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師走……一年で最も忙しい季節でもあり、どの業界でも概ねそうであるが、一年の締めとなる 一か月である。 芸能界もまた然り……。特に、テレビ番組に関しては、十月頃から十二月初旬までは何かと忙しい。 生放送は別として、年末年始番組の収録は、主に十一月頃に収録をし、その後編集作業などもあるため、 十二月初旬までは繁忙期となる。 また、舞台関係の仕事ともなれば、年末年始の公演も多く、千秋楽が本当に年の瀬……ということも ままならない。生放送で年越しカウントダウンのような企画ともなれば、プライベートでの正月など、 ほぼ無きにしも非ずである。 ******* 「ただいま……。」天はその日の収録を終え、姉鷺の運転する車で自宅まで送ってもらった。 玄関のドアを開けると、気付いた紡が小走りに出迎える。 「お帰りなさい。寒かったですよね……!」 天は着ていたコートと帽子を脱いで、玄関口のポールハンガーに掛けた。この数日で急激な寒波が 押し寄せた影響で、一気に冬らしい寒さとなった。 「あ……いい匂いがする。」 キッチンから、食欲をそそる匂いが微かに漂ってくる。 「はい。今日も頑張っている天くんには、おいしいものを食べてもらいたくて。」 にっこりと陽だまりのように微笑む彼女は、真冬に咲く蝋梅の花のように、心に優しい灯りを点す。 「今、用意していますので、ちょっと待っていて下さいね。」
紡がその日作っていたのは、鶏そぼろが入った南瓜の煮つけだった。ほっこりと味の滲みた南瓜が ******* 「――どうして、こうなっているんですか!?」爽やかな柚子の香りが、鼻を擽る。もくもくと湯気の立つ湯船で、紡はしっかりと後ろから天に 抱き締められていた。 「だって、キミと一緒に、柚子風呂に入りたかったんだもの。」 「うう……断れなかったです……。」 紡は肩をすくめて、俯いた。そして、あまりにも天の誘いを断り切れない自分が恥ずかしかった。 自分だって、どこかでこうなることを期待していたからだ。 「さっきも言ったでしょ?キミがボクにとっての太陽なんだから、今日はキミからたくさん充電して おかないとね。」 すっと腰に回した手で、紡の腹を撫でた。 「……!」 ぴくんと跳ねた紡の肩を見て、天はふっと笑うと、紡を抱えて自分の方に 向き直らせた。 「やっぱり可愛い。」 「天くん……ずるい……。」 天は愛おしそうに瞳を細めると、紡の濡れた髪を撫で、頬に触れて、そのまま唇を奪った。いつもより しっとりと潤った唇が蕩けるように柔らかくて、天は夢中になって紡の唇を貪った。 紡の柔らかい乳房を手で包み込み、さくらんぼのような艶めいた突起を指で弄ぶ。 「んっ……!?でも……天くん……これ以上は……駄目……です。」 紡は胸を隠して、雀の涙ばかりの抵抗を試みる。が……。 「どうして?ボクはキミがほしくてたまらないんだけど。」 こういう時の天は真っ直ぐで、紡の抵抗なんて、諸刃の剣である。拗ねた顔まで美しいのだから、正直 たまったものではない。 「本当はベッドで……って思っていたんですけど……。」 今度は紡が天の頬に触れた。 「のぼせてしまったら……一緒に夜を過ごせなくなるでしょう……?」 ******* 「んっ……天くんっ……!」寝室に入ると、紡はすぐに押し倒され、褥に縫い付けられるように、激しく求められた。動く度に、 先程の柚子湯の残り香が部屋に舞う。一旦纏った寝間着はすぐに剝がされて、一糸纏わぬ姿で愛を 語り合う。 「今日は特別な香りを纏っているから、またいつもと違うね。」 激しく求められているのに、天の唇としなやかな長い指先から施される愛撫は、遅効性の毒のように 紡の理性を奪っていく。 「大好きだよ……紡ちゃん。」 生命の源が陽の光であるように、天にとっては紡がかけがえのない存在だった。 芸能界という一見華やかに見えて、毒が巣食うこの世界で、いつも心を癒してくれる存在――それが 紡だった。 「私もです……好き……。」
一年で一番長い夜、二人は補うように、そして繕うように共に時を過ごした。 |
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エロ描写そのものはそこまでなんだけど、どうしても冬至の柚子風呂🍋♨の話は書いておきたくて。 万人受けなんてそもそも目指していないので、自分の書きたいものを書いただけ、っていうね。 強めの幻覚だけれども、本編が過酷なアイドルたちだからこそ、二次創作でくらい、イチャイチャ🏩💕 幸せになってほしい🍀😊💕推しのイチャイチャ🏩💕なんて、何回見たっておいしいんだから、 一旦懐に入れたらとことん甘やかす天くんと、何だかんだで言いくるめられて愛されてしまう紡ちゃんは やっぱり最高✨だと思うのよね。 (2023年12月22日完成) |