|
(はぁ、いいお湯だなぁ~。みんなと一緒に入りたかったけれど、ゆっくりと入りたかったから、 後からにしちゃった。) ぐーっと、陸は腕を前に伸ばした。部屋に小さな露天風呂も付いているけれど、ゆっくりと大きな お風呂で羽を伸ばしたいと思い、陸が大浴場に併設されている大きな露天風呂に立ち寄ったのは、 二十三時も回った頃だった。 先日から、IDOLiSH7とマネージャの小鳥遊紡はバラエティ番組のロケで温泉街に来ていた。昨今の 飛ぶ鳥を落とす勢いの彼らの活躍もあって、今回の宿泊施設は、老舗旅館の一泊何万とする宿を拠点と して提供をしてもらっている。ロケとは言え、ある意味、事務所からの労いの意味も含めての今回の 旅行だった。 さすがに、この時間を回ると、辺りに人気はなく、静まり返っていた。紺碧の空に懸かる満月が、 眩しく煌めいており、優しい光を届ける。 (あぁ~、こういう時に、大和さんとか三月なら、月を眺めて一杯、ってお酒飲むんだろうなぁ~。) 何となく手持ち無沙汰になって、そろそろもう上がろうかと思った矢先だった。 ちゃぷん……とどこかで水の音が響いた。 はっとして、音のする方向を見やると――艶めかしい白い背中が見えた。 キュッと締まったウエストに、柔らかそうな白い肌――濡れないように、髪の毛をアップにした うなじに、陸はゴクリと喉を鳴らした。 (ど、ど、ど、どうしよう……!?マネージャー……!?) 広い露天風呂、仄かな灯りの中、宵闇に紛れ、どうやら相手はこちらの存在には気付いていない らしい。混乱してアタフタし、辺りに隠れる場所がないか、キョロキョロ見回した。もし、陸の存在を 知ってしまったら、紡はびっくりしてしまうだろう。 すす……っと静かに更に距離を取った……つもりだった。 ばしゃん……!!
陸は後ろに転んで、バタバタと大きな音を立ててしまった。 |
|
2022年7月10日開催【おとつむ💗】にて公開したものです。 今思えば……ちゃんと最後まで、陸紡のエッチ🏩💕を書いておけばよかった……。 何となく、当時は聖域✨って感じがして、書けなかったんですよね~💦 絶対初々しくて、可愛いよね~🥰🥰🥰 (2022年7月10日完成、2023年10月27日サイト掲載) |