暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものだが、十月になっても今年は異常なまでの残暑が
続いていた。この美しき国・日本の四季の彩りがここ近年失われつつあるのではないか……と聊か心配に
なるが、日本人のDNAに刻まれたものであろうか。月が変われば、暑かろうと寒かろうと、季節の旬の
もの、というものは気になるものである。
そんな季節を先取りすべく、テレビ番組でも、我先にと言わんばかりに、旬の情報を届ける旅行番組や
店舗情報などが放映される。
小鳥遊事務所の人気アイドル・IDOLiSH7、そして、八乙女事務所のTRIGGERは、この秋に放映される
旅行番組のナビゲーターとして、都心より一足早く、紅葉を迎えるとある名所に訪れていた。
人気アイドルグループの彼らは、人の多い場所を避け、山奥にある一軒の老舗旅館を目指していた。
その老舗旅館は、半年前にはすでに紅葉シーズンを目当てとした観光客で予約が埋まっており、知る人ぞ
知る有名旅館だった。最寄りの駅から送迎バスか、自家用車がなければ訪れることが出来ない場所。
そこの旅館から見る紅葉は、まさに絶景であり、山が錦を纏うとは、まさにこのことだと言わんばかりの
絶景である。
到着まで時間が掛かったこともあり、日は西に傾いており、夕陽に照らされた紅葉が、より一層炎の
ように色鮮やかに九十九折る。
一行を迎えてくれたのは、いかにも老舗旅館にふさわしい、上品な雰囲気の女将と数名のスタッフ
だった。恭しく頭を下げると、女将が言葉を続けた。
「ようこそ、いらっしゃいました。どうぞ、お荷物はお持ち致します。お部屋に御案内致しますので、
こちらへお進み下さいませ。」
ロビーには、和洋折衷、美しい照明が優しく出迎えてくれたが、何よりも、目を引いたのは、先に話を
聞いていた、ロビーにある大きなガラス窓から見える絶景の紅葉である。
「ねぇねぇ、三月!すっごい紅葉綺麗だね!わくわくしちゃう!」
IDOLiSH7のセンター・七瀬陸は、前を歩いていた和泉三月のパーカーの袖を引っ張った。
「陸、し~っ!はしゃぐのは分かるけど、また後でな。」
明らかにわんこのようにしょんぼりした陸の頭を、ポンポンと三月は撫でた。
「七瀬さん、置いていきますよ。」
三月の弟・和泉一織が陸にせっつく。
「は~い。一織も、後で一緒に紅葉見に行こうね!」
はいはい、と受け流しつつ、兄と同じように、陸を促した。
一行は、iDOLiSH7はそれぞれのユニットごとに部屋割りされており、TRIGGERと各グループの
マネージャー・姉鷺と紡には、それぞれ個室が与えられていた。
「それじゃあ、各々、準備が出来たら一旦ロビーに集合ね。」
TRIGGERのマネージャー・姉鷺が場を仕切った。ロケに関する説明を改めて行うという。
各々、部屋に入り、スタッフが持ってくれていた荷物を受け取り、部屋の中に入ると――入った
正面から、一面の紅葉がやはり出迎えてくれた。
部屋の造りからして、もうこの絶景を楽しむために設計されたのだろう。春は桜、夏は深緑、
そして、秋の紅葉。冬は美しい雪景色を楽しむために広々とした窓に映し出されるであろう四季の風景を
それぞれ思い描く。
感動を噛み締めたまま、一行はロビーに集まると、姉鷺、紡、そして番組スタッフから改めて説明が
行われた。実際のロケは明日からとなるため、今日はゆっくりとこの宿で休んでほしいという言葉で
締めくくられた。
それぞれ、思い思いに部屋に散って行き、紡も部屋に戻ろうとした時だった。
「小鳥遊さん、ちょっといい?」
不意に、TRIGGEのセンター・九条天に呼び止められた。天とは密かに同棲をしているが、誰も
知らない二人だけの秘密だった。
「……はい――。」
天は紡に一枚の紅葉を渡した。紡は一瞬どきりとして辺りを見回した。
「大丈夫。誰ももういないよ。」
ふふっと天は微笑むと、紡の耳元で甘く囁いた。
「――せっかくだから、今夜は二人っきりで過ごそうよ。」
夕食はそこそこに、他の一行がそれなりに大広間で盛り上がっているのを見届け、温泉を堪能した後、
紡は部屋に戻り、天が来るのを待っていた。
食事の間に、旅館のスタッフが布団を敷いてくれており、部屋の明かりも落としてくれており、間接
照明だけが優しく温かく部屋を照らし出していた。
夜も窓の外は一定時間までライトアップされており、昼間とは違った深い紅の錦が艶めかしい夜へと
誘(いざな)う。
はらりと落ちた髪の毛を耳に掛けたその時――。
「お待たせ。」
お揃いの白い旅館の浴衣姿の天が微笑んだ。
「天さん……!」
紡が顔上げ、天の傍に駆け寄った。天はぎゅっと紡を抱き締め、紡の細い腰を抱き寄せた。
「こんな場所でキミと一緒に過ごせるなんて、最高だよ。」
「はい……!」
頬を赤く染めながら、紡はにっこりと微笑んだ。
天は紡を褥まで誘うと、そのままゆっくりと押し倒した。額に口付け、更に頬に口付け、そして耳に
息を吹き掛けた。
「ひゃあっ!」
「キミ、ここ弱いよね。」
天はさらに耳を甘噛みしつつ、舌で紡の耳を嬲る。耳の穴に舌を抜き差ししつつ、紡の反応を楽しみ
ながら、天はするりと紡の浴衣を乱していく。
「ひゃあああん!」
「そんなに耳、気持ちいいの?」
耳の刺激をしながら、開けた浴衣の合間から、紡の白い肌が艶めかしく誘う。天はすっと浴衣の襟に
手を差し入れて、紡の乳房を包み込んだ。
「あぁんっ……!」
天は耳への刺激を止めると、紡は少しもの寂しそうに天を見上げた。
「大丈夫、もっと気持ちよくしてあげる。」
天は紡の浴衣の帯を解き、肢体を隠している浴衣を更に開けた。宵闇に浮かび、間接照明に照らされた
紡の身体は、所々に妖艶な影を落とす。
「へぇ……纏っていた下着、下の方だけだったんだ。」
薄い布を纏った下着には、見た目も分かるほどに、ぐっしょりとシミがついており、ぷっくりと
膨らんだ割れ目が天を欲しがっているのが一目で分かる。
「ここは、もう少し後で、可愛がってあげるね。」
天は紡の下着からぷっくりと膨らんだ一番感じる場所を、すっと割れ目を人差し指でなぞった。
「あああああんっ!」
ちょっと触れただけでも、紡はすぐに感じてしまい、高い声で啼いていた。
天は先に露になった紡の豊満な胸を、やわやわと揉み始めた。
「ああっ、あああん!」
紡の甘い声が更に漏れる。ずっしりと重みを感じる柔らかな乳房を、だんだんだと強く揉みしだいた。
桜色の乳首がぷっくりと立ち、天はそれを口に含んで舌で嬲った。
「ああああん!や……気持ち……いいっ……!」
そして、乳房の下の方もやわやわと撫でると、紡は更に腰をいやらしくくねらせ、脚を自然に開いて
いた。
「大胆な子。そんなに気持ちいい……?」
天自身も、早く紡の中に入りたい衝動を抑えつつ、紡の脚を掴んだ。そして、太腿付近を撫で上げ、
下腹部も優しく撫で回した。そして臍に口付け、舌を入れて突っつくと、紡はビクンと反応して、腰を
揺らした。
纏っていた最後の布を剥ぐと、興奮してぷっくりと膨らんだ真っ赤な花弁が姿を現した。天は外側の
膨らんだ部分からそっと撫で、更にその内側のビラビラとした襞をなぞった。しっとりと紡の蜜壺から
流れ出した愛液が流れ落ち、淫靡に奥へを誘う。天はそっと蜜壺の中に一本指を入れて、ゆるゆると
抜き差しした。
「ひゃあああああんっ……!ああん、もっと……もっと……して……。」
可愛いおねだりに、天は我慢出来なくなって、改めて紡の唇を貪った。下の口も指でゆるく掻き回し
つつ、中の感じるところを指を折り曲げて刺激する。
「んんっ!……天……くんっ……!」
じわじわと更に愛液が滴り落ちて、シーツにシミを作る。天は一旦指を蜜壺から抜くと、ぺろりと
細くて長い指を濡らした愛液を舐めた。そして、今度は天は顔を近付け、紡の花弁ごと、唇で覆い、
しゃぶりついた。
「ひゃああああああんっ!?やだ……気持ちいい……よ!?」
柔らかい天の唇と、舌の感覚で、紡は何度も意識が飛んだ。蠢く天の舌が、蜜壺とその柔らかい襞を
舐め回し、快楽の渦へと引き込んだ。
天は、紡に下着の上から、テントを張った自分の肉棒を触らせた。
「可愛いキミの反応見ていたら、ボクももう限界。だから、挿れるね。」
「……ん……おっき……。」
天もすべてを脱ぎ捨てると、改めて紡を抱き締めた。抱き締める度に、天の硬くなった肉棒が紡の
割れ目に擦れて、更に紡が身悶える。
「じゃあ、いくね。」
天は自身の肉棒を手に持つと、紡の割れ目に擦り付けた。溢れ出る蜜壺に、先端を埋めていく。
「んんっ……。」
天はじわじわと擦り付けながら、紡の蜜壺に熱杭を埋めていき、すべてが入り切った時に、改めて、
紡に口付けた。しばらく、馴染ませた後で、天はゆっくり動き始めた。
「痛くない……?」
「うん……。」
紡は気遣ってくれる天にきゅんとすると、蜜壺がキュッと締まって、天の肉棒に絡み付く。
「あんっ……!」
天は意識を持っていかれそうになるのを、必死で堪えながら、腰を紡に打ち付けた。
「あああっ、ああああんっ!」
ピストンが激しさと勢いを増すに連れて、更に紡の奥も、更に締め付けを増し、快楽を逃がすまいと
天の肉棒に襞が絡み付く。奥の奥まで、肉棒が達した時、天は奥を「の」の字を書くように回し、
刺激した。
「あ、あんっ……!」
「もう……限界……だっ!」
天は白い飛沫を紡の中に吐き出すと、ぐったりと紡に覆いかぶさった。
そして、ぎゅっと紡を抱き締めた。
「他の人がいるかもしれないのに……ボクたち、いけないことしているよね。」
「えぇ!?さすがに誰も聞いていないと思いますが!?」
そう言いながらも、愛する人を目の前にしたら、止められるはずなどないのだから。
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片付け終わった後、天は紡を抱きながら、呟いた。
「大切な思い出……。」
「……?」
不意に呟いた言葉に、紡は言葉の続きを待った。
「紅葉の花言葉だって。花紅葉、って言うでしょ?」
「そうですね。」
天は紡の髪を撫でると、改めてぎゅっと紡を抱き締めた。
「ここの紅葉、綺麗だね。来年も一緒に見られるといいね。」
「はい。」
紡も天の背中に腕を回して、ぎゅっと抱き締めた。
「キミと過ごすこの時間が、ボクにとっては大切な思い出だから。」
そして、ちゅっと軽く紡の唇にキスを落とした。
「それはそうと……紡ちゃん、今夜は特に乱れていたみただけれど、そんなに興奮した?」
唐突に質問されて、紡は天の胸に顔を埋めた。
「もう、天くんのエッチ……!」
「……だって、自分の恋人がこんなにエッチな体していたら、喜ばせたい、って思うよね。」
「……!?」
そう言って、再び、紡のぷっくりとした割れ目に触れた。じんわりとまだ先程の余韻を引き摺った熱が
更に体に燃え移る。
「ひゃああんっ!」
「そんな声聞いたら、今夜は寝かせてあげられないね。」
その夜は一頻り、紡は抱き潰され、眠りに就いたのは、丑三つ時を過ぎた頃だったとか。
今宵、花紅葉の山は、一層燃え上がる。二人の熱い心と身体を重ねて……。
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