その城は、既に人々の記憶から、消え去っていた――。

*******

 森の奥深く、茨で覆われた城があった。
 人々の記憶からは、どうしてその城がそのような有様になったのか、長い歴史の中で、
知る者はいなくなった。なぜ、取り壊されることもなく、ただひっそりとそこに存在を
し続けているのか――。
 暗い部屋の中、僅かに動くと、じゃらりと重い鎖の音が響いた。
 少し冷ややかさを纏った空気の中で、かすかな息が聞こえる。
 三人の男たちが、座ったまま、鎖に繋がれていた。
「なぁ、リュウ……テン……生きている……か?」
「ガク、俺は平気だよ。テン……君は?」
 リュウと呼ばれガタイのいい男の隣で、小柄な少年がガクを一瞥する。
「……何、ガク?ボクがそんなことでくたばると思ってる?」
「いや、動く気配がなかったからな。」
 ガクは自分以外の二人の無事を確認すると、少しだけほっとした表情を見せた。
「繋がれていてから、ずっと眠っていたけれど……ようやく、力を取り戻す時が来たみたいだね。」
「そうだね。俺たちは……この国を守る神だったはずなのに、悪魔の化身として、ここに繋がれて
 しまった……。」

 人々にさんざん嬲られた後、ガクは茨で、テンは鎖で、リュウは有刺鉄線の呪詛で、それぞれの
能力を封じ込められていた。。彼らの持っている能力を以てすれば、人間などすぐに打ち破ることが
出来たはずだが、それらを駆使してまで、人を傷付けることはしたくなかった。むしろ、長い時間を
生きる彼らにとって、人の時間の泡沫を破壊し、傷付けるならば、己が犠牲となり、時間が流れるのを
静かに待つ選択を選んだ。

*******

 ちょうどその頃――。
 一人の女性が、鬱蒼とする森の中を彷徨っていた。身を隠すかのように、長い布を頭から覆い、
マントを着込んでいる。長い時間、放浪していたのだろうか――ふらふらと足取りも覚束ない。
(長く落ち着ける場所を探しているのに。もう、疲れました……。)
 ぺたりと、道なき道に座り込んで、はぁ……っと大きな溜息をついた。
ふと、見上げると、茨に囲われた城が目に入った。
(……こんなところに、お城なんて……?)

 こんなに大きな城であれば、遠くからでも目に留まりそうなものなのに……どうして気が付かなかった
のか――?

 そんなことを疑問に思いながらも、仮初の宿として、こっそりと城内に忍び込むことにした。
とりあえず、人がいないことを確認しながら、城の奥へと侵入。上へと続く階段を見付け、慎重に歩を
進めた。
(随分と古いお城みたいだけれど……この分だと、誰もいなさそうですね……。)
 しんと静まり返っていることを確信した女性は、一通り城内を見回るために、更に上の階へと進んで
行く。
(きっと、こんな大きなお城の最上階から見る景色は、絶景なんだろうな。)
 そんな気楽なことを考えつつ、心躍らせながら、最上階へと向かう。
 まさか、そこに「囚われの悪魔」がいることなんて、気付くはずもなかった……。

 ことの異変に気が付いたのは、テンだった。
「ねぇ……この城に、誰か侵入したみたいなんだけど……。」
「――!!」
「――!!」
 二人の表情に戦慄が走る。
「でも、安心して。邪悪な気配ではないみたい。いや……むしろ、邪気が全く感じられない。」
 その言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろした二人。
「それにしても、どうしてこの場所が分かったんだ……?」
 ガクが訝しげに頭を抱えていると、リュウが少しの沈黙を挟んで答えた。
「……魔法が解けたのかもしれないね。俺たちの力が回復したことで、呪詛が解かれつつあるのかも
 しれないね。」

「ちょっと、ガク、リュウ、そんな呑気に話している場合じゃないかも!」
 テンがそう言葉を発した時だった。
 ギィィィ……っと、重い木の扉が開く音が聞こえた。はっとして、三人はその扉に視線を注いだ。
「……どなたか……いらっしゃいます……か……?」
 随分と可愛らしい、呑気な声が聞こえる。そっと扉から顔を出したのは、色白で金髪の天使のような
女性だった。少女と言ってもいいくらいなのかもしれない。くりっとした大きな目が、更に見開かれた。
「……!?」
 その女性は、はっと息を飲んで扉の前に立ち尽くす。
「おい!お前は何者だ……?どうして、こんなところまで来た?」
「ちょっと、ガク、そんな言い方したら、びっくりしてるじゃない。」
 テンはリュウを見やると、こくりと頷き、扉のところに棒のように立ち尽くしてしまった彼女に声を
掛ける。
「俺たち……君に危害を加えるつもりはないから、中に入ってくれないかな……?よかったら、君が
 どうしてここに辿り着けたのか、やって来たのかも。」

 穏やかなリュウの声に安堵したのか、女性はおずおずと部屋の中に入った。
 長いマントに身を覆い、頭も覆っていたのか、髪も乱れている。
「お邪魔しま……す……?」
 そして、よくよく見ると、彼女の頭から、二本の角が生えているのが目に留まった。
「……――!?」
 三人とも、その角を見て驚愕した。
「……もしかして、キミ、人間じゃなかったから、ここに辿り着けた……?」
「――って……お前……サキュバス……か!?」
 ガクの言葉に、リュウとテンも驚きを隠せない。
「サキュバスって……君みたいな子がかい!?」
 リュウはその言葉に、耳まで真っ赤になり、しどろもどろになっている。
「ちょっと、リュウ、そんなことでいちいち反応していたら、それこそ、目の前にいるこのサキュバスに
 いいようにされるかもよ?」

 テンが呆れ気味に言う。
「……サキュバス……って言いましても、私なんて……その……落ちこぼれでして……。」
 はは、と乾いた笑いがこぼれる。
「……それはそうと……皆さんのその呪詛……まずは解きましょうか……?」
「ああ、頼む。それはそうと、お前、名前は何て言うんだ?俺はガク。横のガキがテン、そして、
 さっきから凝り固まっているのがリュウな。」

「私はツムギです。」
 ツムギは、そっと三人の囚われている呪詛にそれぞれ触れた。パリンという音を立てて、三人の
呪詛がそれぞれ祓われ、ようやく、三人は長き束縛より解放されることになった。
 ガクには立派な角と黒い羽根が、テンには真っ白な翼が、リュウには聖剣が戻った。本来、持っていた
姿を取り戻すことが出来た。
「ありがとう!ツムギちゃん!君は俺たちの命の恩人だよ!」
 リュウは心底嬉しそうに破顔した。
「そうだね。本当にありがとう、ツムギさん。」
 三人からそれぞれ感謝の意を述べられ、ツムギは照れ臭そうに笑った。
「ところで……皆さん、どうしてこんなところに、閉じ込められていたんですか……?」
「それは――」
 三人はそれまでの経緯を、ツムギに話をした。
「それにしても、キミって……落ちこぼれのサキュバス……っていうよりも、むしろ……――。」
「……ダメです。それ以上は……!」
 テンが言いかけた言葉を封じるかのように、ツムギは人差し指をテンの唇の前に立てた。
 ツムギは立ち上がると、はらりと纏っていたマントを脱いだ。それまでの天使のような姿とは裏腹に、
大切な部分を辛うじて覆った布が真っ白な肌に食い込み、、妖艶で甘美な姿を曝け出す。
「それとも……皆さん……私と甘い夢、見てみたいですか……?」

*******

 窓の外から、柔らかく甘い薔薇の香りが部屋に流れ込む。
 城の別室では、三人の神たちに囲まれた一人のサキュバスが、ベッドの上で甘美な声を上げていた。
 本来の姿では、絡みにくいという理由で、ツムギはガクとテンの翼は一時的に消してしまった。
また、物騒だという理由で、リュウの剣さえも、消してしまったのだ。
 最初、真っ先に反対していたリュウでさえ、サキュバスであるツムギの誘惑には、非力であった。
また、誰よりも真っ先に夢中になったのはガクで、ベッドに真っ先に押し倒したのも、ガクだった。
「サキュバスって、もっと隠微で大人なだけかと思っていたけど……ツムギ、お前は別だな。」
 そう言って、貪るように唇を奪う。
「もう、ガク、押し倒したら、ボクたちがこの子、触れないじゃない!」
「まぁまぁ、二人とも喧嘩しないで!ツムギちゃん、怖がっちゃうじゃない。」
 ガクはツムギを抱き起すと、テンはツムギの背中に口付けを施す。リュウは、ツムギの細い足を取る
と、指の間をちろちろと舐め始めた。
「んん……っ!」
 三か所から攻められる唇と舌からの刺激に、ツムギの体がびくっと反応する。
「こんな布、無意味だから、取っちゃうね。」
 背中を弄んでいたテンが、胸を覆っていた布の結び目を、するっと解いた。ぷるんと柔らかい乳房が
零れ落ちる。ガクは前から、テンは後ろから、片方ずつ、ツムギの胸を揉み始めた。柔らかな乳房を
優しく、そして、時に鷲掴みにして、刺激する。
「あああんっ……!」
 快楽に溺れ、ツムギは脚をもじもじとすり始める。リュウがそっとその脚を開き、太腿を撫で上げる。
「ツムギちゃん……とっても感じやすいんだね。」
 そう呟くと、太腿にキスを落とし、更にその周辺を舐め始めた。
「あぁ……リュウさん、それ以上はダメぇ……!」
「へぇ、いい感じに啼いてくれるね。誘惑して来たいけない子は、キミなのに。」
 テンがそっと耳元で囁き、乳首をぎゅっとつねって、刺激を与えた。
「ああああん!!」
 悲鳴を上げるツムギの頬に、テンはキスを上げると、更に背中や腰、お腹も撫で始める。
 ガクもテンが触れない背中や腰、そして臀部も撫で始める。
「こんなに感じやすくて、可愛いなんてな。全身性感帯、ってやつか。」
 ツムギの恍惚とした表情を見て、ガクは満足したかのように、微笑んだ。
「へぇ……じゃあ、そろそろ、こっちの下の口も、暴いてもいいんじゃない?」
 今度はテンが、ツムギを横たえた。息絶え絶えになっているツムギの白い肌が、三人のキスの痕で、
花びらを散らしたかのように、赤くなり、染まっている。
 三人はツムギを覆う最後の布に視線を注いでいる。黒い布からは、愛液が溢れ出て、太腿を
ぐちょぐちょに濡らしている。黒い布に大きなシミを作り、今か今かと暴かれるのを待っているかのよう
に、ツムギの腰は快楽に揺れていた。
「……すごい誘ってるね……。」
 ごくりと三人の喉が鳴った。
 テンがすっと、布の上から、ツムギの割れ目をなぞった。
「ねぇ……今、どんな気持ち?ボクたちと遊んで、気持ちよかった……?って……ふふっ、聞くまでも
 ないか。」

 すっと何度かなぞると、布の上からでも分かるほど、ぷっくりと膨らんだ割れ目の先の一番感じる
部分を人さし指で摘まみ上げた。
「やああああん!……はぁ……気持ちいいの……っ!」
「へぇ……じゃあ、俺らがもっと、気持ちよくしてやるよ。」
 今度はガクが、布の隙間から指を突っ込み、ツムギの肉壁をまさぐった。くいっと二本の指を
入れながら、何度も気持ちよく感じるところを探して、ツムギの膣内を這い回る。
「ガクさん……!!もう……ダメです……っ!」
 とろりと更に愛液が溢れ出す。
「ツムギちゃん、痛かったら言ってね。」
 代わってリュウの、ガクより更に頑丈で太い指がずぶりと差し込まれた。
「あああっ……!リュウさんの……大きい……っ!」
 リュウの逆に不器用な動きが、ツムギに新鮮な快楽の波を起こし、更にずぶずぶと刺され、
掻き回される快楽にただただ、だらしなく愛液を垂れ流すしかなかった。
「指だけでイっちゃうなんて、いけない子。」
 テンは覆っていた布をさらりと剥がすと、太腿に手をやり、ツムギの秘花と舐めるように視姦した。
ガクとリュウも、ようやく露になったツムギの秘部を、まじまじと見つめた。
「テンさん……みんな……そんなに綺麗じゃない……です。」
「そう?こんなに綺麗に膨らんでいるのに。やっぱり、花の蜜は、新鮮な内に頂かないとね。」
 そう言うとテンはぢゅっと秘花にしゃぶりついた。
「お前……!いきなり大胆だな!もっと優しく触るとかしないのかよ!」
 ガクからの突っ込みは他所に、テンは夢中でツムギの秘花をしゃぶり続けた。大胆だが、舌先は
一枚一枚丁寧に花びらをめくるように、舐め上げていく。そして、勃起したツムギのクリトリスを
舌先でつつくと、更に刺激を与えられて、花全体が真っ赤に染め上げられる。膣まで零れ落ちた蜜を
拭うように、ぺろりと舐め上げる。
「はい、リュウも舐めてみたら?そんな怖気づかないで。」
「う……うん……。」
 リュウは最初は控え目に、ツムギの様子を伺いながら舐めていたものの、ツムギの喘ぎ声と反応に、
いつの間にか夢中になっていて、気が付けば、膣の中にまで舌伸ばし、愛液を貪っていた。
「あぁあん……リュウさんに……全部吸われちゃう……っ!」
「ご……ごめんね!ツムギちゃんっ……!あまりにも、君の反応が可愛すぎてっ!ガクに代わるね
 っ……!」

 リュウはおずおずとガクに場所を代わった。
「最後に、俺が可愛がってやる。」
 ガクはリュウと場所を代わると、再び、指をまず一本挿入して、ゆるゆると掻き回した。
「ん……。」
 甘い声が漏れる。更に、ガクは指を二本、三本と増やして、再び掻き混ぜた。
「もう……我慢出来ないので……。」
 ツムギが涙目で、ガクを誘う。
「く……俺だって、限界だからな……!」
 ガクはツムギに覆い被さり、唇を貪り、更に自分のそそり立つ熱杭を曝け出した。
「あー……ガク、我慢出来ないよね、この状況じゃ。」
 テンははぁっと溜息をついた。
「我慢出来るわけねぇだろ……!いくぜ、ツムギ!」
 ガクはツムギの割れ目に、自分の熱杭を擦り付けた。
「あぁ……ガクさん……っ!」
 新たに来る快楽の波に、ツムギは自ら、秘花を開き、ガクが挿入する手助けをした。先端だけ入って
も、気持ちがいいのに、ずぶずぶと肉壁を押して、ガクの熱杭がツムギの体に打ち込まれる。
「ひゃああ……ガクさん……っ!大きいっ……!」
 甘美な熱に溺れるツムギは、ぎゅっとガク自身を締め付け、搾り上げようとする。
「おい……ツムギ……!締め付けすぎ……!」
「悪いけど、俺も混ぜてよ。四人で交代で、ツムギちゃんを気持ちよくしよ。」
 リュウが背後から、ツムギの乳房を弄ぶ。大きくて逞しい掌が、ツムギの柔らかな乳房を鷲掴みに
して、何度も何度も揉みしだく。
「はぁあああ、リュウさん……気持ちいいっ……!」
 ガクとリュウからの快楽に、溺れているところで、耳元でテンからの囁きが聞こえた。
「いやらしい子……。ねぇ、もっとキミの乱れたところ、見せてほしいな。」
 まさに天使……というより、小悪魔の囁きである。
「や……テンさん、そんなふうに言わないで……。テンさんのも……後で……ほしい……っ!」
 そう漏れたところで、背後乳房をから揉みしだいているリュウの熱杭が、ツムギの背中に
硬くなって、存在を主張して来る。
「リュウさん……!」
「ごめんね……っ!ツムギちゃん……!」
 再び、ガクの挿入が深くなって、グルグルと蜜壺を掻き乱したかと思うと、白い飛沫をツムギのお腹の上に撒き散らした。
「……――っ……イった……!」
 ガクは脱力して、ツムギの上に覆い被さった。
「……ツムギ……最高だったぜ……!」
「……ガクさん……っ!」
 何とか、ツムギのお腹の上の汚れを拭き取ると、自分の服を持って、それを毛布代わりに、部屋の
ソファーに横になってしまった。
「……ガクをあんなにクタクタにしてしまうなんて……サキュバスってすごいんだね。」
 リュウは素直に感心していた。
「でも……もう、俺も限界だから、テン、次行ってもいいかな……?」
 リュウは子犬のような目で、テンに訴える。こんな顔をされたら、いくら年上で力のある神だと
いうことを抜きにしても、譲らないわけはなかった。
「分かった。滅多に我儘言わないリュウだから、今日は聞いてあげる。」
「わぁ、ありがとう、テン!本当に君は、天使の中の天使だよね!」
 そんな純粋な笑顔を向けられたら、大抵は断ることなんて出来ないだろう。
「もう、リュウ、恥ずかしいこと言わないで。ほら、それより、早くしてあげて。」
 今度は、テンがツムギの背後から立ち回り、リュウは前から、ツムギと直接見つめ合うことになった。
「……ツムギちゃん……。」
「はい……。」
 既に、ガクとの情事で目が潤み、肌も赤く染め上がっている。
「改めて思ったんだけど……サキュバス、っていうよりも……君は……――」
 言い掛けて、リュウの唇が塞がれた。柔らかくて、甘い唇がリュウの唇と重なる。
 どこからか、ふわりと薔薇の香りが流れて来る。
「早く、リュウさんの……挿れてほしい……です。」
「……だって……リュウ。」
 背後でツムギの体を弄ぶテンが、そう言って、ツムギとキスを交わした。
 その後、リュウはツムギの唇を貪るように堪能し、テンと共に豊満な乳房を弄ぶと、リュウの熱杭を
蜜壺に穿ち始めた。太くて更に硬く、大きな熱杭に、ツムギの体に押し寄せる快楽の大波の呑まれた。
「あぁあああん、リュウさん……熱い……!」
 がつがつと獣のように激しく打ち付ける腰に、ツムギの蜜壺はぐちょぐちょに濡れ、愛液がとめどなく
溢れ出る。リュウの逞しい熱杭に、ツムギは溺れた。あまりに激しい快楽に、ぎゅっとツムギの蜜壺が
締め上げる。
「……ツムギちゃん……!」
 リュウは最後に腰を激しく打ち付けたかと思うと、白濁をツムギのお腹に吐き出した。
「ごめんね……ツムギちゃん……。君とは、もっと……心を通わせてから、体を繋ぎたかった……。」
 リュウはぎゅっとツムギを抱き寄せて、額にキスを落とすと、お腹の汚れを拭き取り、服をラフに
着ると、ガクと向かいのソファーに横になった。
「さて……と。最後はボクだけれど。……やっと、二人っきりになれたね。」
 テンは背後から抜け出て、ツムギを押し倒した。
「ねぇ……キミ、サキュバスだと思い込まされていたんだよね。――その力、ボクたちの呪詛を祓った
 その力、サキュバスの力で解けるものじゃない。」

 テンの言葉に、ツムギははっと目を瞠った。
「ふふっ……でも、今は……キミに惚れちゃったから、まずはキミを堪能してからにしようかな。」
「テンさん……私は――。」
「いいよ、今は。」
 そっとツムギの唇に自分の唇を重ねた。甘い薔薇の香りが、鼻を掠める。
「ねぇ……外の薔薇、咲き始めたみたいだけれど……赤い薔薇は情熱の花、黄色い薔薇は嫉妬、白い
 薔薇は……どういう意味か知ってる……?」

「――白い薔薇……?」
 テンの問い掛けに、ツムギはきょとんとした顔を見せる。
「純潔……清純……。」
「――でも、今の私には、そんな言葉は、無関係です……!」
 ぽろぽろと大粒の涙を流し始めたツムギをテンは優しく抱き締める。そして、優しくキスの雨を
降らせていく。白い肌にたくさんの痕を付け、今まで付けた後も併せて、薔薇の花弁を散らしたかの
ように、紅い痕を散らす。
 たわわな乳房を揉みしだき、赤みを帯びた乳首を舌で転がし、突くと、びくんとツムギの体が撥ねた。
「テンさん……っ!!」
「ボクだって、限界だから……そろそろ挿れるよ……?」
 テンはツムギの蜜壺が濡れているのを確認すると、硬くなった熱杭先端を割れ目に埋め、ツムギを
焦らすかのように、擦り付けた。
「……はぁああああっ……テンさん……っ……!」
「……一気に挿れるね……。」
 ずぶりとツムギの淫道を突き進み、熱杭が奥まで入ると、テンは激しく腰を打ち付けた。
「ひゃあああん!」
 腰を動かしながら、胸を揉みしだき、唇を奪った。
「キミは……ボクたちと同じ天使……だ!」
 そう呟くと、テンは欲望の飛沫を吐き出して、ぐったりとツムギの上に被さった。そして、ちゅっと
口付けると、そのまま、ぐったりと眠りに落ちてしまった。
(私が……テンさんたちと同じ――……?)
 朦朧とする意識の中で、窓から流れて来る薔薇の花の香りだけが、一層強くなっていた。
まるで、この城ごと浄化するかのように――。

*******

 ツムギは一眠りして目が覚めた後、窓から見える景色を見て、驚いた。
 城を頑丈に覆いつくしていた茨に、たくさんの白薔薇が咲き乱れていた。花の香りが、情事の最中も
鼻を掠めていたけれど、こんなにも一気に白薔薇に埋め尽くされるとは――。
(綺麗……。)
 そして、テンの言葉を思い出した。
(白薔薇の花言葉は、純潔、清純……。)
 ツムギはふるふると首を横に振った。そんなわけはない……と――。
 その時だった。ツムギの体が、一瞬光に覆われたかと思うと、その背中に、真っ白な羽根がばさりと
姿を現した。
「――!?」
 強い神気に、眠っていた三人も目を覚ますと、ツムギの姿を見て、驚いた。
「……ツムギ――!?その姿!?」
 えへへ、と照れ笑いするツムギに、テンは言った。
「……!?ツムギちゃん、君、神様だったの!?」
「……だったみたいです……!?」
「だから言ったでしょ。キミは強い力を持ってる、って。それに……この外の白薔薇が満開になった
 のも、キミの力が覚醒したから、だね。」

「確かに、ツムギは出会った時から、天使だったな。サキュバス、って感じじゃなかったけどな。」
「でも、その色気に真っ先にやられたの、キミでしょ、ガク。」
 テンがちくりと突っ込むと、リュウがまた妄想して、真っ赤になった。
「でも……ツムギちゃん、色っぽかったよね。サキュバスって感じではなかったけれど……。
 ああ、駄目だ。俺には刺激が強すぎたんだ……!」

 頭を抱えるリュウを、テンとガクが宥めながら、ツムギに聞いた。
「なぁ、ツムギ、お前、これからどうするんだ?」
「ここは仮初の宿にしようと思っていましたが、皆さんが、今後力を取り戻して、国作りをされるの
 でしたら、そのお手伝いをさせて頂こうかと思っています!」

「へぇ……まぁ、いいんじゃない?頭数、一人でも増えれば、もっといい国になるかもしれないし。」
「……そうだね!じゃあ、俺たち、これからも力を合わせて、頑張ろう!」
 リュウがポンポンとみんなの肩を叩きながら、嬉しそうに微笑んだ。

*******

 時間が止まっていた城は、四人の神々が住み込むことで、息吹を吹き返し、荒廃した国を、無事に
平和に建て直しましたとさ。めでたし、めでたし。おしまい。

【Twitter】のフォロワーさんと話していて、出来上がった小説です。
TRIGGER×紡ちゃん、さすがに4Pは動かすのが大変だったので、後半1人ずつ、眠りに就いて
頂きました。世界観とか、なかなか書かないファンタジーだったので、楽しかったです🙌🙌🙌
ガク=堕天使・ルシファー
テン=大天使・ガブリエル
リュウ=大天使・ミカエル
のビジュアルイメージだったのですが、あまり意味なかったですね(笑)。
(2020年4月19日完成、5月4日更新)